海外製の薬や適応外の使い方をサイトに載せるとき——未承認医薬品等で必要な5つの明示事項

公開 2026-07-26|更新 2026-07-26

海外から取り寄せた注射剤を使う、あるいは国内で承認されている薬を承認とは違う目的で使う。美容医療では珍しくない形ですが、これを自院のサイトに載せるとき、医療広告ガイドラインは通常の自由診療より一段多い記載を求めています。厚生労働省の医療広告ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)の本文から確認します。

出発点:未承認医薬品による治療は「広告可能な事項ではない」

まず前提です。ガイドラインは、広告できる事項の説明の中で次のように述べています。

治療の方法については、広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されており、未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではない。

つまり「書き方を工夫すれば載せられる」という話ではなく、原則としては載せられない側にあります。それでも自院サイトに掲載できるのは、広告可能事項の限定解除という仕組みがあるからです。

限定解除は、①患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること、②問い合わせ先を明示すること、③自由診療の治療内容・費用等の情報提供、④主なリスク・副作用の情報提供——の4つをいずれも満たしたときに認められます(③④は自由診療について情報提供する場合)。この4要件そのものは体験談とビフォーアフター写真の記事で詳しく扱っているので、ここでは先へ進みます。

「未承認医薬品等」は海外製品だけではない

見落とされやすいのが定義です。ガイドラインはこう書いています。

医薬品医療機器等法において、承認等されていない医薬品・医療機器・再生医療等製品、あるいは承認等された効能・効果又は用法・用量が異なる医薬品・医療機器・再生医療等製品(以下「未承認医薬品等」という。)

後半に注目してください。国内で承認されている薬でも、承認された効能・効果や用法・用量と違う使い方をすれば「未承認医薬品等」に含まれます。いわゆる適応外使用です。「海外から取り寄せていないから関係ない」という整理は成り立ちません。

限定解除に加えて求められる5つの明示事項

ガイドラインは、未承認医薬品等を自由診療で使用する場合、「限定解除の要件として以下の内容についても十分に記載する必要がある」として、5項目を挙げています。

(ⅰ)未承認医薬品等であることの明示

用いる未承認医薬品等が、医薬品医療機器等法上の承認等を得ていないものであることを明示すること。

(ⅱ)入手経路等の明示

医師等の個人輸入による未承認医薬品等を用いる場合は、その旨を明記すること。合わせて、厚生労働省ホームページに掲載された「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページを情報提供すること。

「海外から取り寄せています」といった曖昧な表現ではなく、個人輸入によるものならその旨を書き、厚労省のページも案内する、という形です。

(ⅲ)国内の承認医薬品等の有無の明示

同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無を記載し、その国内承認医薬品等に流通管理等の承認条件が課されている場合には、その旨を記載すること。

国内に同等品があるかどうかを患者が比べられるようにする、という趣旨です。「無い」ときも書く必要があります。

(ⅳ)諸外国における安全性等に係る情報の明示

当該未承認医薬品等が主要な欧米各国で承認されている場合は、各国の添付文書に記載された重大な副作用やその使用状況(承認年月日、使用者数、副作用報告等)を含めた海外情報についても、日本語で分かりやすく説明すること。

そして、情報が乏しい場合の扱いも決まっています。

主要な欧米各国で承認されている国がないなど、情報が不足している場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示すること。

海外の実績が無いことは、書かなくてよい理由ではなく、書くべき事実として扱われています。

(ⅴ)救済制度の対象にならないことの明示

5つ目が最も落ちやすいところです。

未承認医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用は救済対象にならないこと、また、承認を受けて製造販売されている医薬品・医療機器・再生医療等製品であっても、原則として決められた効能・効果、用法・用量及び使用上の注意に従って使用されていない場合は救済対象にならないことを明示すること。

医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の話です。ここでも適応外使用が名指しされている点に注意してください。

書く場所と大きさも要件のうち

ガイドラインは、掲載の仕方についても続けて述べています。

当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと。

5項目を別ページの「注意事項」にまとめてリンクで飛ばす作り、あるいは施術の説明は大きく・注意書きだけ極小、という作りは、この一文に正面から当たります。書いてあるかどうかだけでなく、同じ画面で読める大きさかどうかまでが問われます。

検索広告に転用できない

限定解除の①には、次の但し書きが付いています。

インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたものなどは、①を満たさないものであること。

限定解除が成り立たない以上、そこでは「未承認医薬品による治療」は広告可能事項に戻ります。自院サイトに要件を満たして書けている内容でも、そのままリスティング広告やバナーの文面には持っていけません。

点検の順番

まとめ

未承認医薬品等を使う施術の掲載は、通常の自由診療の要件に5項目が上乗せされる形です。とくに適応外使用が定義に含まれること、救済制度の対象外である旨の明示が必要なことは、原文を読まないと抜けやすいところでした。

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この記事は公表資料をもとにした一般的な情報の整理です。個別の広告表現が法令に適合するかどうかの判断ではありません。 最終的な適否は、専門家や所轄の窓口にご確認ください。

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