ステマ規制で大手にも措置命令——ロート製薬の事例に学ぶ、モニター投稿・口コミの落とし穴
美容・健康分野のSNS運用でよく使われるのが、モニターやインフルエンサーによる体験投稿です。ただ、2023年10月に始まった「ステルスマーケティング告示」以降、この使い方には注意点が増えました。2025年3月、消費者庁が大手のロート製薬に対して措置命令を出した事例は、規模の大きい会社でもつまずきうる論点を含んでいます。公表資料をもとに、何が問題とされたのかを整理します。
ステルスマーケティング告示とは:事業者の広告なのに、それを隠して第三者の感想や中立的な口コミのように見せる表示を、景品表示法で禁じるルール(2023年10月1日施行)。「一般消費者が事業者の表示だと判別しにくいもの」が対象とされます。
何が起きたか(公表資料ベース)
消費者庁は2025年3月25日、ロート製薬株式会社に対し、同社が供給するサプリメント「ロートV5アクトビジョンa」に係る表示について、景品表示法に違反する行為(第5条第3号=ステルスマーケティング告示に該当)が認められたとして、同法第7条第1項に基づく措置命令を行いました。
一次情報は消費者庁の公表ページで確認できます。
- 消費者庁「ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2025年3月25日) https://www.caa.go.jp/notice/entry/041488/
どの表現・行為が問題とされたか
公表資料や報道によると、問題とされたのは「投稿そのもの」よりも、投稿を二次利用する過程で広告であることの表示が抜け落ちた点にあります。
同社はモニターに対し、あらかじめ用意した画像や文章を用いてInstagramへ投稿するよう依頼していました。Instagram上の投稿には広告であることを示す表記がありましたが、その内容を自社ウェブサイトに転載して掲載した際に、広告であることの表示がない状態になっていたとされています。結果として、サイトの閲覧者がその内容を中立的な口コミや利用者本人の感想と受け取りかねない、と判断されました。
つまり、「もともとは広告表示があった投稿」でも、置き場所を移した先で表示が抜ければ、その場所ではステマと評価されうる、ということです。報酬提供の事実を積極的に隠したかどうかとは別の論点として、媒体をまたいだときの表示の抜けが問われた事例と読めます。
同じ轍を踏まないためのチェック観点
一般的な注意点として、SNS運用や口コミ活用で見落としやすいのは次のあたりです。
- 転載・引用のたびに広告表示を付け直す:Instagramの投稿をLP・自社サイト・別のSNS・メルマガへ再掲するとき、元にあった「PR」「広告」「提供」等の表記が引き継がれているか。スクリーンショットや抜粋では抜けやすい箇所です。
- モニター・アンバサダー・インフルエンサー施策:無償提供や報酬がある場合、投稿が「事業者の表示」であることが一般の人にわかる形になっているか。表記の位置(文末に埋もれていないか)も含めて確認する。
- 「お客様の声」欄:依頼して用意した文章・画像を、あたかも自然発生の感想のように見せていないか。
- 判別しやすさ:小さすぎる・折りたたみの中・ハッシュタグに紛れている等で、一般の閲覧者が広告と気づきにくくなっていないか。
これらは「投稿を作るとき」だけでなく「使い回すとき」にこそ抜けやすいポイントです。掲載箇所ごとに表示を確認する運用にしておくと、事故を減らしやすくなります。
公開前の原稿や、他媒体へ転載する文面を貼って、広告であることの表示や気になる表現をまとめて洗い出したいときは、イイカエのような原稿チェックの道具を下書き段階で使うのも一つの手です(適否の最終判断を代わりに行うものではありません)。
まとめ
この事例のポイントは、広告であることの表示は「作った瞬間」だけでなく「置いた場所すべて」で保たれている必要がある、という点にあります。大手でもつまずいた論点なので、モニター投稿や口コミを扱う担当者・ライターは、転載フローを一度見直しておくと安心です。
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本記事は公表資料をもとにした一般的な情報の整理であり、個別の広告の適否を判断・保証するものではありません。実際の表示が問題となるかどうかは事案ごとに異なります。個別の判断は、弁護士等の専門家や所轄の行政庁(消費者庁・都道府県)にご確認ください。
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